第10章  リカバリーショット



ブラッシーは手にした細い金属の鋸のギザギザの歯を踏み台上に釘付けされたニアの右乳に押し当てると、力いっぱい曳いた。
細かい鋸歯の一本一本がニアの白い肌を引き裂き、幾筋もの真っ赤な鮮血が豊かな乳房の表面に滴る。

          

うっ、うぅぅぅぅ・・・・・・・  ニアは歯を食いしばり目をきつく閉じたまま痛みに耐えた。
さらにブラッシーは同じ線上に鋸歯を当てると、何度も繰り返して曳きなおした。
既に鋸は乳房の肉を切り裂き、3cm近くも中に潜り込んでいる。
それを確認するとブラッシーは今度は反対の乳房に鋸歯を当て、同じように何度も曳いて肉に食い込ませた。
あぁぁぁあぁぁあぁぁぁ・・・・うぐぐぐぐ・・・・・ 噛み殺すような曇ったニアの呻き声がキャリーの耳にも漏れ聞こえてくる。
絶叫を上げたい気持ちを懸命に抑えているのは、ニアのせめてもの抵抗の意思表明であろうか。

    

 

 

 

「凌遅刑。生きながらにして身体のパーツを順番に切り落としていく極刑だよ。あんたの国の素晴らしい知恵が生み出した伝統的な
刑罰さ。さあ、最初はどこからやってほしい?ふふふふふふ」
「うぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言で激痛に耐えるニアの顔面は、釘で打ち抜かれた全身からの大量の出血もあって既に蒼白になっていた。
この凄惨な光景を無理やり見せつけられ、キャリーはあたかも自分の身体が切り刻まれるような錯覚に襲われて思わず大声で叫んだ。
「や、やめろーーーー!!この鬼畜!変態!サディストーーー!! 彼女は関係ないわーー!私を責めて!!
目玉を抉られてもいい!腹を裂かれ腸を引き出されてもいい!だから彼女には、ニアには手を出さないでーーーー!!!」
                              
「アハハハハハハ、相当堪えてるみたいね。対拷問訓練を積んでるあんたには、こういうやり方の方が効き目があるってことがよく
わかったわ。」
ブラッシーはキャリーの苦渋に満ちた表情の変化を観察しながら、再び鋸引きを開始した。
「お、お願い、もうやめて!!!これ以上ニアを傷つけないで!!!言うわ・・・・ ハザードの・・・・ハザードの収監場所は・・・・・・・」
やるせない悔しさにうつむいたままキャリーが口ごもる。
                              
突然ニアが頭を起して叫んだ。
「キャリー・フェアウェイ!!あなたそれでもHCPの警備隊長なの!!わたしのせいであなたが口を割っただなんてことになったら、
わたしだって迷惑だわっ!!」
      
そう言うとニアは思いっ切り舌を出して噛みついた。
これに驚いたブラッシーが慌ててニアの顎に手を当て無理やり口をこじ開ける。
そして素早くポケットから取り出したハンカチを丸めニアの口の中に押し込み、上からガムテームで固定した。
「ふん、自害しようだなんて。そうはさせないよ!もはやあんたは自分の命だって自由にはならないのさ。恐怖と絶望と激痛の中で
ゆっくり死んでもらうんだから。もう一息でこいつから情報を聞き出せたって言うのに!くそっ」
最後の手段を断たれたニアは激しい怒りの眼差しでブラッシーを睨みつけたが、その目にはこれから自分を待つ過酷な死を覚悟した
色がありありと浮かんでいた。

                       

ブラッシーはニアの不意の自害行為と情報収集の失敗にあらためて怒りを満面に浮かべて言った。
「決めたよ。まずはその憎らしいほど大きなおっぱいをバッサリ切り取ってやる。その次は手足の指を一本一本順番にね。それから耳
を削ぎ落とす。口は耳まで大きく切り裂く。でも目玉は最後までそのままにしてあげるよ。自分の体が破壊されていく様をじっくり見れる
ようにね。もっとも命がどこまで持つかはあんた次第だけどね。」
「むぐぐ、うが、うぐ、むぅう・・・・」 口をガムテープで封じ込められた状態でニアは必死に言葉にならない抵抗の叫びを発した。
ブラッシーの手が以前にも増して力をこめて鋸を規則正しく前後に動かし始めた。
乳房を乗せた踏み台の上は大きく裂かれた切り口から流れ出るおびただしい血で覆われていく。
ウグゥゥゥゥゥゥーーーーーッ!!ムガムゴ!!!フギィィィィーーーッ!!
顔を汗と涙でグチャグチャにし髪を振り乱してニアが頭を激しく前後左右に動かす。
「土」の字型の磔台がギシギシと音を立てて軋み、そのたびに釘で貫かれた傷口から鮮血がほとばしる。
「ニア・・・・・・ごめんなさい。私・・・なにもできない・・・・・・ゆるして!!」 キャリーは想像を絶する激痛にのたうつニアの姿をただ見守る
ことしかできない無力な自分を責めた。

            

その時、地下室のドアが開き、一人の男が姿を現した。
これに気づいたブラッシーが男の方に目を向ける。
                                     
「なんだい、ディポットか。どうしてここがわかったのさ?」
「へへへ、ブラッシーさんの行動パターンはだいたい想像がつくもんでね。俺たち相棒じゃないですか。」
市警察の腐れ警官ディポットはニタニタ笑いながらブラッシーの方に近づくと、目の前の血だるまの女の顔を覗き込んで言った。
「おやおや誰かと思ったら、ニア姐さんじゃねえか。泣く子も黙る鬼の取調官もこうなったらザマねえな。ハハハハハハ。さしずめ
長官殿のお気に入りの美人秘書が実はHCPのスパイだった。そんなシチュエーションかな。どうだい図星だろ?」
    
「あんたに相棒呼ばわりなんてされたくないね。それより今いいところなんだよ。それともあんた、まだ責めたりないのかい?」
「憎たらしい女を責めるのもいいけど、今日は報酬をもらいに来たんだ。あの女隊長拉致の取り分がちぃっと少なかったからね。」
「ふん、役に立たないくせに口だけはいっぱしだね。この前やった額で十分すぎるくらいだよ。文句あるなら生きてここから出れないよ。」
「おぉコワコワ。そんなに脅すなよ。でも俺は新しいスポンサー見つけたんで、もうあんたにゃ頼らないことにしたよ。」
「どういうこと?」
ブラッシーが怪訝な顔をした瞬間、
ドドドドーーーッと入口から大勢の武装した男たちが踏み込んできた。
咄嗟にクリークが銃を向けたが、逆に一発で撃ち落されてしまった。
一団のリーダーがブラッシーの前に進み出る。
「アルバトロス幹部ブラッシーだな。殺人未遂の現行犯で逮捕する。他にも罪状は山ほどあるぞ。無駄な抵抗はやめろ!」
                     
キャリーの顔にサッと明るい色が戻る。 
「あぁ、ボギー統括・・・・・」
                 
「ディポット、おまえ、よくも・・・・・・!」 ブラッシーが怒りをディポットに向ける。
「ブラッシー、警官を買収するのもよく相手を選んだ方がいいぞ。金で動くようなやつに忠誠心を期待する方が間違ってるぜ。」
ボギー・ペースは部下にブラッシーたちを取り押さえさせながら言った。そしてキャリーの傍らに腰をかがめた。
「キャリー、よく頑張ったな!」
「ボギー統括、やはり来てくれたんですね。信じてました。でも、私よりニアを!」
「ああ、わかっている。ニアだって厳しい訓練に耐え抜いた強靭な肉体と精神の持ち主だから、手当てすれば助かるはずだ。
それにしても何て酷いことを・・・・・」
ボギーはあらためてニアの受けた極刑の凄まじさに絶句した。
            


こうして逮捕されたブラッシーとその手下どもの供述により、間もなくアルバトロスは一網打尽にされ、さらに彼らに買収された
市警察メンバーも罪を問われることになった。
そして一ヵ月後、頭領のウォーター・ハザードの刑は予定通り執り行われ、今回の一件はすべて落着した。
その陰にキャリーとニアの機密情報を守りぬく命がけの闘いがあったことは、HCPの膨大な記録の中の一つのファイルだけが
知っている。

         

読者コラボレーション絵物語 THE END

皆様、アイデアのご提供、ありがとうございました。
 

※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体は実在しないものであります。

 

      

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