第7幕 可憐な戦士
「ギガリアー様、連れてまいりました。」
セルケトの猛打責めに夢中になっていたギガリアーは兵士の声に振り返り、そして驚いた。
そこにはこれまでの親衛隊員たちとは違ったまだあどけなさが残る可憐とも言える女性が恐怖の面持ちで立っていたからだ。

「ふーむ。そなたが親衛隊員とはな。どうだ、余のしもべにならんか?素直に財宝の在り処を教えれば、命は助けてやろう。
それだけではない。綺麗な服に美味い食べ物。そして贅沢な暮らしと豪華な住まいも用意してやってもよいぞ。」
これまでとは打って変わったような猫なで声でギガリアーはシータに向って言った。

そのギガリアーの言葉に慌てたのは裏切り者のペイトーネだった。
「ギガリアー陛下!恐れながら、その者は見た目こそ可憐な女子でありますが、その実体は猫の皮を被った獰猛な獣。けっして
騙されてはなりませぬぞ!」
「黙れ!そなたには地位と名誉は約束したが、わしの寵愛までやると言った覚えはない。調子に乗るな!」
ギガリアーは嫉妬に燃えるペイトーネを一喝すると、再びシータの方を向きなおり、声を和らげて尋ねた。
「さあ、どうじゃ?天国の快楽を享受するも地獄の責めに苦しむも、おまえの言葉次第じゃ。」
シータは問いに答えず、口を閉ざしたままだった。 牢で見たアレシア女王とメーティス隊長の無残な姿を思い出し、そして今目の
前でなぶりものにされているセルケトの変わり果てた体を見つめ、実のところ恐怖にすっかり心を奪われていたのである。
しかし、シータは自分の心の中で、そんな恐怖と必死に戦うもう一つの感情が徐々に高まりつつあることに気づいていた。

「さあ、どうする?おまえの答えを聞かせてくれ!」ギガリアーが回答を迫る。
ついにシータの心の中で熱い感情が恐怖を制した。
「私もアレシア女王に仕える親衛隊員の一人よ!女王をそして仲間を裏切ることなんか死んでもできない!選べというなら喜んで
地獄を選ぶわ!!」
その言葉にほっとするペイトーネ。激昂するギガリアー。覚悟を決めたシータ。三人の表情はあまりに対照的であった。

「余の救いの手を拒むとは・・・・・・よかろう、おまえがその気なら、こちらも考えがある。」
怒りに燃えたギガリアーは拷問官に指示を出すと、シータを縛り上げるよう兵士に命じた。
両手を背中にまわし両足首と鎖でつながれたシータは、広間の中央に跪くように座らせられた。
横を見ると動かなくなったセルケトの体が、まるで吊るされた剥き身の動物のように全身から血を滴らせてぶらさがったままに
なっている。(あぁ、セルケト・・・・な、なんて、ひどい目に・・・・・)

やがて拷問官が二人がかりで部屋に持ち込んできたものは、真っ赤に燃え盛る炭火を入れた大きな金属製の箱であった。
それがシータの前にドカッと置かれると火の粉がパッと舞い上がる。
シータが黙ってその燃える炭火を見つめていると、いきなり背後の兵士たちがシータの衣服を乱暴に切り裂き、あどけない顔立ちに
不釣合いなほどのはちきれそうな豊満な乳房を露にした。

シータはされるまま抵抗しなかったが、再び恐怖がじわじわと心に広がるのがわかり、全身は小刻みに震えが止まらなくなっていた。
「おまえが選んだ地獄だ。その地獄から解放される方法はただ一つ。財宝の秘密を白状することだ。」
ギガリアーはシータの心を弄ぶように言ったが、シータの決意は変わらなかった。
炭火が十分燃え上がると、拷問官は分厚い断熱素材の手袋をはめ、火の中から2つのおぞましい形状の器具を摑みあげた。
火の粉を撒き散らしながら持ち上げられたそれらは、真っ赤に熱せられた鉄の鉤爪であった。
燃える鉤爪が剥き出しになったシータの乳房に迫る。

近づくだけで肌が焦げるような猛烈な熱をシータは感じ、思わず体を逃がそうともがいたが、背後から屈強な兵士たちに押さえ
込まれているため体はビクとも動かない。
あ、あぁぁ・・・・ 恐怖で大きく見開かれたシータの両目が鉄の鉤爪の一点を見つめる。
次の瞬間、両方の鉤爪はガッチリとシータの乳房に強引にはめ込まれた。
ジュジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・・・ッと肉を焦がす異臭があたりにたちこめる。
ひっ、ぎゃあぁぁぁあああぁぁぁああああぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁーーーーーーーーーっ!!!!
と同時にシータの絶叫が反響する。

凄まじい熱さにのたうちまわるシータを気にも留めず、拷問官たちは淡々と作業を続けた。
天井からガラガラと引き下ろされた2本の鎖の先が、シータの胸に噛みつく鉤爪の根元の輪っかに取り付けられる。
準備が完了したことを確認した拷問官が手を挙げると、部屋の隅にいたもう一人の拷問官が滑車を力いっぱい操作しはじめた。
ガラガラガラガラ・・・・・・っと音を立てて鎖が巻き上げられる。
それにつれて鉄の鉤爪がシータの乳房を捉えたまま徐々に上に持ち上がっていくと、シータは否応なく中腰になってしまった。

あ、うぅぅぅぅぅぅ・・・・・ 燃える乳房の熱とそれを引き上げられる痛みに苛まれ、シータは呻き声を上げた。
つわものぞろいの親衛隊に似つかわしくないシータの可憐な表情も、今や汗と涙で覆われた凄まじい形相に変わっていた。
残酷極まりないギガリアーでさえ、この光景に一瞬たじろぐとともに異臭に鼻を手で覆った。
「さあ、吐け!素直に吐けば鉤爪は即刻取り外してやるぞ。どうじゃ!」
「うぐぐぐ・・・・い・・・いやよ!! わ、私は・・・親衛隊員・・・・さ、最後まで・・・女王をお守り・・・する!」

「女王を守るだと!? この状況で何を言うか!」
「・・・・か、体は・・・焼かれようと・・・・心は・・・・心は常に・・・・・う、うぅぅぅ・・・・・」
「よおし、体がどうなっても気持ちは変わらぬと申すのだな。オイ、引き上げろ!」 ギガリアーは残忍な笑みを浮かべ部下に命じた。
拷問官が再び滑車を勢いよく回しはじめる。 ガラガラガラガラガラガラーーーーーーーーッ!!!
鉤爪は鎖で引き上げられるとより一層シータの乳房に深々と噛みつき、それを引き千切るようにグググッと上に摑み上げた。
グギャアァァァァァァァァアァァァァアアァァァァッァーーーー!!!
鋭い絶叫とともにシータの体は床を離れ徐々に宙に浮きだした。

それに伴い、鉤爪に摑まれた乳房に全体重が集中してかかり、想像を絶する激痛がシータを襲った。
ヒィィィッ!!ぎぎゃぁあ!!グァァァァアアァァァァアアァアァーーーー!!!
強烈な熱さと激痛に鎖に繋がれたままの両足をバタバタと動かすシータ。
しかし宙でもがけばもがくほど鉤爪は乳房にますます喰らいついてくる。
「さあ、さあ、さあ、財宝の在り処を白状するんだ!言えーーーっ!!」ギガリアーは興奮して責め寄る。
イヤァァァァァアァァァァァァァアアアァァァーーーーーーーーッ!!!!!

※この物語はすべてフィクションであり、登場人物および団体、地域、国家は実在しないものであります。